2013/03/09

私を離さないで カズオ・イシグロ

以前「カズオ・イシグロ」の特集をNHKで放送した時、偶然に見ました。
ちょうど映画「わたしを離さないで 」が話題になっている時期で、冒頭の映画の押さえた色調の映像が美しく、思わず見入ってしまいました。

クローンが主人公で、成長するまで閉ざされた世界で過ごし、そして・・・という話で、
クローンという設定が話題になったものですが、彼、カズオ・イシグロはこの本について、
「記憶がテーマである」と
「短い一生を運命つけられた人々で、クローニングは材料で、本質ではない」
「記憶は死に対する部分的な勝利・死に対する慰め」と語っています。

深く興味を持ち、すぐに手に入れ、読みました。
心をつかんでしまうものに巡り会うと、本でも、アートでも、心ここにあらずという状態になってしまうものですが、この本もそうでした。
この設定、それぞれの人格、文章は静かで、美しく、・・・原文で読んでみたい

「3・11」からしばらくたってから、近所の友人から、「◯◯ちゃんなくなったらしい・・」とメールがきました。娘の幼稚園時代の通学仲間で、小学校入学前に家族でお父さんの赴任先「宮城」に引っ越してもう何年もたちます。我が家で送別会もしたのです。
娘にメールしました。「宮城県警のサイトで、名前を確認した」と連絡がきました。
勤め先で巻き込まれたようです。
私は、あの優しいお母さんのことを思いました。こんなに若いのに・・失うなんて・・
「彼女のことを、心の奥にとどめておこう。そしてふつうに生きていこう。」
と娘に返信しました。

「生きていく」ことを、いとおしく思えるなったのは、大人になってから ずっと後 最近のことです。









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